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彼は立ち上がり、私を見るとにっかり笑った。
「お、なかなか似合うじゃねぇか」
「あ、ありがとうございます」
「お前、本当に異人じゃねぇのか?」
「違いますよ!」
どう見ても日本人にしか見えない私に、どうしてそんな質問するんだろう。
「じゃぁどういうわけで異人の格好なんかしてたんだ?」
「あれは異人の服じゃ」
「?」
上手く説明できずに口ごもる私を見て彼は可笑しそうに笑い声を上げた。
「ははははっ、言えないことだらけか! 面白ぇ奴だな」
がしがしと頭を撫でられ、私はなんとなく余計に口を閉じた。
「お?髪か、とりあえずこれで」
そんな私にお構い無しに何やら私の髪を構い始めた彼。
どうしたらいいか分からず固まったままそれが終わるのを待つ。
「いたた」
「あ、悪い」
髪を引っ張られ、痛みに顔をしかめる。
「よし!出来た!」
「え」
出来たと言われ、自分の頭を触ると、お世辞にも上手とは言えない束ね方で小さいポニーテールが作られていた。
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