第一章 君のいる場所へ

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「新選組、ロマンがあるよねぇ……」  何を隠そう、私は大の新選組好きだ。  少し前に流行った歴女とかいうやつの端くれだと思う。  その中でも何故か沖田さんに惹かれ、ついつい沖田さんについて調べたりしている。  新選組好きから派生し、江戸時代が好きになった私はとにかく江戸時代の初期から末期にかけての資料を読み漁っていた。去年なんか友達に侍呼ばわりされたくらいだ。  人気のない田舎の、それでも小さな建物が並ぶ道に私の独り言が響いている。  今日は雲一つない晴天で、気持ちのいい秋晴れ。  穏やかな空気、セーラー服を通る涼しい風が心地良い。  田舎の道と言えど、いつも数人は行き交う大きめの道のはずなのに、今日は珍しく全く人がいなかった。  この時点で何かおかしいと思うべきだったのかもしれない。 「あーあ……江戸時代に行けたらなぁ……」 たぶん、この発言がまずかったんだ。
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