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「あ、猫」
踏切に差し掛かった時、踏切のど真ん中に座り込んでいる子猫を見つけた。
慌てて走り寄り、しゃがんだまま抱き上げる。
「可愛い! こんなところに座ってちゃ危ないにゃー?」
返事をするように子猫は小さく可愛らしい鳴き声でにゃぁと鳴いた。
黒いふわふわの毛並みに、金色のクリクリした目がすごく愛らしい。
「でも飼い猫じゃないのかな?」
毛並みはいいのだが首輪をしていない。飼い猫ではないのかもしれない。
とりあえず踏切の外に連れて行こうと立ち上がった瞬間、聞き覚えのある音が耳に入ってきた。
それも物凄く近くで。
一瞬全てがスローモーションに見えた。
猫はびっくりしたのか手からすり抜けて逃げて行き、私は顔を音のする方に向けた。
だが、時すでに遅し。
「……うそ……」
耳をつんざくような音を発した電車が見えて私は思わず目を固く閉じた。
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