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トモナは長い休養を経て、東京に戻ることを決めた。 踏ん切りがつくまで1年近く。 彼女にとっては、それほど重たい事実だった。 エプロンで手の水気をぱさぱさと取り除く母。 玄関先にある大きな鏡で、申し訳程度に髪形を整える。 そして、引っ掛かっていた車のキーに手を伸ばす。 つっかけを履こうとする母を、トモナはやんわり制止する。 「大丈夫。寄りたいところ、あるから…」 少し残念そうな母の顔。 海外旅行くらいの荷物を転がし、トモナは実家を玄関を出た。
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