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トモナの実家のあたりは晩秋にもれば風も強く、陽が落ちるのも早い。
もう少し季節を外すと雪だってちらつく、そんな山間。
そうなると、こうやって歩くのは厳しい。
「あっという間に冬だよ。もうすぐ1年だもの…」
紅葉も終わりかけた昔ずっと歩いていた道を、
トモナはゆっくり、景色を見ながら歩く。
通った小学校は廃校となり、通った中学校は改築され、
何年か前に隣町の学校と合併してしまった。
知らない近所がいない、小さな小さなトモナの地元。
彼女が寄りたかったのは、バス停を少し過ぎた先のお墓だった。
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