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魔法王国アルテナの首都アルテナ
魔法文明が大陸一栄えた大国である。
そんな首都の北側に王国の象徴である城が、その清廉な姿を毅然と誇っている。
城からやや離れた南側にある職人通りにある青い屋根の二階建が、マジックショップ―ミリアのアトリエ―
「きゃぁぁぁ!間に合わない!」
悲鳴を上げつつ、液体の入ったフラスコ片手にシンプルにラッピングされた商品を陳列していく。
「これでよし!あ!ヤバい!急いで調合しないと!」
気が付けばフラスコの中身が透明な青から変色をはじめている。
あわてて店の奥にある調合室に駆け込んでいく。
そして・・・
どっかぁぁぁぁぁん!!!「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」
爆発音とともに少女の悲鳴が響く。
カランカラン
軽やかにドア鈴がなり、二人の男女が入ってくる。
「はぁ~。あいっかわらず、派手にやってるわねぇ・・・」
開口一番、来店した少女が腰に手を当て、呆れた口調で言い放つ。
「大丈夫か?ミリア。物凄い音がしたけど・・・」
同じく来店した少年が心配そうに声をかける。
「な・・・なんとか大丈夫、かな?」
ヨロヨロとよろめきながら調合室から顔をのぞかせる。『ぷっ!』
ミリアの顔を見たとたん、二人は互いの顔を見合わせて吹き出す。
「???どしたの?ディアナもルークも急に吹き出したりして・・・?」
いまいち状況が飲み込めていないミリアは首を傾げる。
「私たちがどうこういうより、鏡を見たほうが早いわよ。ふふふっ。」
笑いが止まらないディアナは、涙目になりながら言う。
「?鏡?」
さらにわけがわからずに、鏡を覗き込むミリア。
「!!!えぇぇぇぇ!!」
本日三度目の悲鳴を上げる。
「なにこれぇ!」
今度はミリアが涙目になりながら言う。
ミリアの顔はパンダよろしく煤だらけの顔で鏡を見つめている。
「ほら。拭いて上げるからこっち向きなさい。」
ディアナはハンカチを取り出し、ミリアの顔をやさしく拭き取る。
「開店には間に合いそうなのか?」
ルークはようやく笑いが落ち着いたのか、ミリアに問いかける。
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