Ⅰ
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ペンケースに入っていたカッターを見つめる。 これを持ったところで、何もできないんだろうけど。 ノートに丁寧に綴られた文字が、俺を嘲笑するように見ている気がして、嫌になる。 はぁ、と小さく溜息をつき、教師の声に耳を傾けた。 いつも通り、変わらない日常に憂鬱な気分になりつつ、心の何処かでほっとする。 だからこれが、最後の登校になるなんて、この時は思ってもみなかったんだ。
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