Case 1 ― キザシ ―

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. 「フフ……眠っちゃったくせに」 「だね……」  顔を見合わせて笑う。  それから明日香は、また真剣な顔に戻った。 「ねえ、ホントに無理しないでね?疲れている時はちゃんと休んで。翔が身体壊しちゃったりしたら、私……」 「解ってるよ、明日香」  確かに近頃の翔はかなり疲れているようだった。  けれども能力を使った様子もなく―― 「もう帰りましょう」 「大丈夫だって」 「ううん、違うの」  微笑んだ明日香が、翔の耳元に口を近付ける。 「翔の部屋で二人っきりがいいかな……とか思って」  言った途端に真っ赤になって俯いた明日香を目にして、翔も頭を掻く。 「じゃあ、戻ったらコーヒー入れてくれるかな?」 「いいわよ。居眠り出来なくなるような思いっ切り苦いのをね」 「頼むよ」  二人はまた顔を見合わせて微笑んだ。 .
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