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「フフ……眠っちゃったくせに」
「だね……」
顔を見合わせて笑う。
それから明日香は、また真剣な顔に戻った。
「ねえ、ホントに無理しないでね?疲れている時はちゃんと休んで。翔が身体壊しちゃったりしたら、私……」
「解ってるよ、明日香」
確かに近頃の翔はかなり疲れているようだった。
けれども能力を使った様子もなく――
「もう帰りましょう」
「大丈夫だって」
「ううん、違うの」
微笑んだ明日香が、翔の耳元に口を近付ける。
「翔の部屋で二人っきりがいいかな……とか思って」
言った途端に真っ赤になって俯いた明日香を目にして、翔も頭を掻く。
「じゃあ、戻ったらコーヒー入れてくれるかな?」
「いいわよ。居眠り出来なくなるような思いっ切り苦いのをね」
「頼むよ」
二人はまた顔を見合わせて微笑んだ。
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