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────・・・決まった。
最後の音が決まった。
まるで、時間が止まったようだ。
沢山の観客。
眩しいくらいスポットに照らされている目の前の楽譜。
その楽譜の最後に記されている何重にもエンピツで丸をされた音符がハーモニーとなってホールの中に程良い余韻を残した。
何度仲間と練習したか計り知れない音がホールから完全に消えた頃、客席から盛大な拍手が鳴り響く。
張り詰めた空気は、一瞬にして温かいモノへと変わり、あぁ、私は泣いてるんだとその時になって気づいた。
これが私の3年間の夢、そして今この瞬間に現実になった、と確信した。
中学最後の定期演奏会が終わる。
自然と、この3年間の思い出が溢れてくる。
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