人面花

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 遥々彼方、うっそうと木々の生い茂るジャングルの奥地。  しっかりとした装備に身を固めた男が三人、眉間(みけん)にしわを  寄せ、ぬかるんだ地面を進行していた。  まだまだ太陽は真上にあるというのに、葛(つづら)折りの深い森の中では、  その光をまともに拝むこともできない。  僅かに木漏れる日の光が、時折三人の頭を緩く触れる。 「ああ! クソッ、なんだってこんなに蒸し暑いんだ」  金髪の男。アレックス・アンダーソンは、苛立たしげに足元の雑草に  怒りをぶつけていた。  大柄な白人の男性。三人の中では一番力があるようだ。 「そう騒ぐな。一攫千金の夢に、いの一番に食いついたのはお前だっただろ。  そうだよなぁ、ジェフ」  そんなアレックスを冷えた目で見据える男、デレク・イーガン。  バランスの取れた体格を持ち、身のこなしも三人の中では一番手慣れていた。  この湿気と温度に板ばさみにされた環境でも、涼しい顔をしている。 「うん、そうだね。確か、そうだったような」  ジェフと呼ばれた男は、他の二人と比べると酷く頼りない男であった。  体格もそうだが、その主張も弱く儚い。  ただし、その目の輝きは誰よりも強かった。 「うるせぇ、暑いもんは暑ぃだろうが。クモは降ってくるは、蛇は噛み付いてくるは、  お前これだけ苦労させておいて、なにも見つかりませんでしたじゃ  済まさねぇからな」  アレックスは粗暴な動作で、前方の枝葉を折り道を作る。 「ああ、心得ておこう」  涼しい顔を崩さないデレク。  その様子を心配そうに見つめ、その後をついて行くジェフ。  ジャングルの森の上で、得体の知れない鳥の声が響き渡る。
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