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三人は無事、川べりに停泊させたボートにたどり着いた。
この場所に来るために借りたボートだが、三人が充分に寝られるスペースが
あるため寝場所としても使っていた。熟練の探し屋ならばともかく、
三人はほとんど一般人である。この森での野宿はヘタをすれば命を捨てることに
なりかねなかった。
各々提げた荷物を降ろし、充分に体を休ませる。
「チッ! また手ぶらでここに戻るのかよ。いつになったら、その人面花とやらは
見つかるんだ!?」
やや乱暴な口調で、デレクに突っかかるアレックス。
この劣悪な環境下、気が立つのも仕方が無いように思える。
当たれば大きな賭けではあったが、それは同時に当たらなかった場合の
徒労が大きいことも示していた。
「俺に言っても仕方が無いだろう」と盛大にため息をついて見せ、
デレクはバッグから大きな紙を取り出し机上に広げる。
「これは……」
「ここ周辺の地図、だね」
ジェフは一通り紙面を眺めてから言った。
「そうだ。……ここが、船を止めている場所」
とデレクは赤いペンで囲った川の場所を指で示す。それからしばらく下に
指を動かし、突き当たった草原にある赤マルに大きくバツを書き加えた。
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