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「おい、なにをボーっとしてる。置いて行くぞ」
「……え? ああ、ごめん」
密林の草原。朝からどこか魂の抜けたような顔をしているジェフを
見かねたように、デレクは言う。
その言葉で一時的には気をしっかりと取り戻すものの、
すぐにそれは途切れてしまう。
疲れが溜まっているのかもしれない。
そう思ったデレクは前を行くアレックスに、もう少し慎重に行こうと提案した。
「ああ? そんなことしてたら、日が暮れちまうだろうが」
アレックスは案の定反対の意を唱えるが、
「人面花がそこらに生えている可能性だってあるんだ。猪突猛進は良いが、
それを見逃してはまずいだろ」
ともっともらしい顔で言うデレクに結局は従うこととなった。
幾らか落としたペースで、昨日の夜に言った滝のそばに向かう三人。
デレクの説得は半分は嘘だが、残りは本当だった。
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