「灰色の狼達」

13/59
265人が本棚に入れています
本棚に追加
/99ページ
ごくり、と誰かの唾を飲む音が聞こえた。 「デタラメ言ってんじゃねぇぞ。」 今にも刀を抜きそうな土方歳三に対し、あの夜真っ先に刀を突きつけてきたあいつ… 沖田総司は、その大きな目を細め、 じっと言葉の真意を探っているかのように此方を見ていた。 「世の全てを知ってるだぁ? んなことあり得る訳ねぇだろうが。 だいたい、」 「殿内義雄…そして、暗殺」 土方歳三の言葉を遮るようにしてそう言えば、遂に奴… 沖田総司は刀に手をかけた。 そして反応を示した人間がもう一人…近藤勇だ。 「心当たりがある方…いらっしゃるんじゃないですか?」 その近藤勇をじ、と見つめる。 蛙を追い詰める蛇のように、じ、と。
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!