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「これは…話を聞いて頂ける、と解釈しても?」
「…構わない。」
ちらり、と縄を見てから土方歳三に目を向ければ、
奴は少しの沈黙の後、ゆっくりと頷いた。
「では、」
「その前に、まずは貴方が何者なのかを教えて下さい。」
優しげな、しかし有無を言わせないような絶対的な声で私の話は遮られた。
その声の主は、上座のほうにすわっており、
眼鏡をかけた優しげな雰囲気を持つ男だった。
こいつは…山南敬助かな。
「…私は、烏。
世の全てを、知る者。
この度は、貴方方新選組に待ち受けし運命を変える為、参った次第でございます。」
淡々と告げれば、更に広間の雰囲気はピリピリと殺気立つ。
「なにを、言ってやがる。」
全身に疑いの眼差しを受けながら、私は土方歳三の問いに答えた。
「言葉の通りでございます。
私は知っています。
この先、貴方方にどの様な未来が待ち受け、
そして、…
どの様にして、死ぬのかを。」
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