狼の片思い

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「藤井さんの彼女また来てますよー。 いっつも待たせて、いいんですかー。」 「うるせー。お前が早く終わらせば早く帰れるんだよ。」 「分っかりました!!大至急終わらせます!!」 「おう。」 バイト先でオレに臆さず話しかけるのはこいつくらいなもんだ。 いつもはくりっとしてて意志の強そうな眼も。 こういう時はいたずらっこみたいな眼になって。 ただのクソガキになってるぞ。 こいつは北川があまり得意ではないらしく。 女にしては珍しい。 もう一人の友達の方も毛嫌いしてる。 だからなのか、質問や困った事がある時は必ずオレに言ってくる。 それにしても、オレの怖さが気にならないのか普通に話しかけてきて。 いつもなら、「こわーい。」と女独特の声で言われていた様な返事も、 こいつは普通に聞いている。 今までには無い、不思議な感覚だ。
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