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眼下には成人男性らしき者が3人いた。
更にその先には彼等よりも小柄な体格をした子供が必死に走っていた。
先程の声からするに追われているのであろう。
一体どういう経緯からかは知らないが、環境の変わったこの都市では珍しい光景だろう。
不良に追われてる子供。
「不良ねー。学生の時はアイツも不良って呼ばれてたな」
「何をどうでも良い事を呟いてるのよ? それに学生を懐かしむ歳になったかしら?」
「二十歳手前なら十分懐かしむだろ?」
「なら昔の青春を呼び戻して上げようか? 先輩」
「お前はちゃんと年上に敬語で喋れ」
じゃなくて。
流石に放って置くのは良心が傷む。
まだ相手は中学生くらいの子供だ。
助けるか、と窓に足を掛けた時だったーー
「……おいおい。マジかよ?」
予想外な光景を目の当たりにしてしまった。
慌てて俺は背後にいる赤茶色の髪の少女の制止を無視して割と高い位置にあるテナント募集の一室の窓から飛び降りた。
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