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「(何でこんな目に合うの?)」
少年は嘆いた。
自分は何も悪い事なんてしていないのに。何故理不尽な事が起きるのか。
両親にも愛され、友人に恵まれ、幸せな生活を送っていた筈なのに今の状況は真逆だ。
不幸と呼ぶにはあまりにも酷い。
「(僕は何もしていないのに何でこんな奴等にーー)」
背後で下品に笑う彼等と面識なんて少年にはなかった。
ただ、唐突に囲まれ、追われたのだ。
「(何で僕は追われ続けなければならないの?)」
1週間前、彼の自宅に怪しげな集団が押し掛けてきた。
そして少年は取り押さえられ、連れ去られ、檻に閉じ込められた。
連れ去られる時、愛され、愛していた筈の両親は助ける素振りすら見せていなかった。
最後に覚えているのは大量のお金を渡され、不気味な笑みを浮かべた父と母の姿だけである。
幼いながらも物心がついていた少年は直ぐ様見捨てられたと理解した。
彼はショックのあまり、数日の間は檻の中で放心状態でいた。
そして何の理由か檻から何処かへ移動する為、護送車へ乗せられる瞬間。
『(逃げなきゃ)』
何故そう結論付いたのか、少年はとりあえず逃げなければならないと思い、隙を見て逃げ出し、現在に至った。
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