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「髪の毛……染まったわ」
「サンキュー」
高層ビルが建ち並ぶ都市の一部のテナント募集中で歯抜けのように空いている一室に俺達はいた。
元々のデータに反映されている黒髪の自分を金に染め、少しでも身を誤魔化せるようにしているのだ。
目をつけられている以上、度々この自分を新しい自分に変える手間は惜しまないに限る。
「お前は良いのか? 蓮?」
「私は髪型変えるだけで印象変わるから問題ないわ。それに私は人前に出るのは元々好きじゃないから特に大丈夫よ」
「問題はそこじゃねーのか?」
うるさい。と吐き捨てる目の前にいる女性。
幸村 蓮。
長い艶のある赤茶色の髪の綺麗な容姿を持つスレンダーな彼女は俺と同じ超能力者だ。
ハッキングを得意とする知人から引き取る事になり、こうして協力しあっている。
あまり俺としては気の進まない話だったのだが、わざわざ政府のデータベースにリスクを抱えてまでハッキングしてくれた知人のお願いを拒否等当然出来ず、多々愚痴を互いに溢し合うが、行動しているのだ。
多少ぶっきらぼうで極端な人嫌いではあるが、それが吉に出た状態である。
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