第一章【清明】謎深まる美女

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   なんだってこんな場所にいるのだろう。   「あら、なにか言いたいことでも?」 「いえ、滅相も御座いません」  現在俺は、学生の懐具合には平らかなファミレスにて食事を摂っている。否、正しくは食事を奉呈させて頂いていると言った方が正しいだろうか。須く、俺の目の前にあるのはフリードリンクたる水のみ。  そしてファミリーボックス席の対面に座するのは、風向きのよろしくない金髪美少女。艶やかな金髪は二括りに纏められ、白皙の肌を際立てるオプションとしては申し分ない。  詳らかに描写するのは煩わしいので煩雑に纏めるが、今生ゆめゆめお目にかかれないであろう美少女が、目の前で不機嫌極まりないオーラをびんびんに発しているのがいまの惨状だ。  どうしてこうなった。  ことの次第を包み隠さず白日のもとに晒すには、いまから少しばかり時を遡る必要がある。しばしお付き合い願いたい。
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