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「それで、誰なんだよ?」
「言うにこと欠いてそれか。他人の振りまでして話を逸らしたというのに、少しは空気を読め」
「だが断る」
に、にゃろう……。
この見るからにいけ好かない野郎の名前は狭間啓太(はざまけいた)。中学に入学した当初、出席番号の関係で会話をするようになって以来ずるずると連むようになり、それから同じ高校まで通う悪友である。
容姿は俗に言うイケメンに属し、身長は百八十近くの高身長。黒髪はワックスでふんわりと立たせ、切れ長の瞳がなんとも鋭く、眉目秀麗とはこいつの為に用意されたんじゃないかと思うくらいだ。
だけど、啓太に特定の彼女はいない。
いつも飄々とした雰囲気で周りには絶えず女の子がいるイメージの啓太だが、誕生日、クリスマス、バレンタインと恋の三大イベントは終始女の子から逃げ惑う始末。今年のバレンタインは余りの猛襲に俺の家に避難していたほどだ。
なんてうらやま……じゃなくて、頑なに拒む理由をいつか話してくれるのをゆっくりと待つとしよう。
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