第1話

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双子の兄、リーフがそれを見つけ出したのは誕生日の三日前のことだった。  父はカルヴァート伯爵として国に仕える貴族で、単身赴任状態だ。 だから代わりに、本で埋めつくされている部屋を勝手に使わせてもらっている。 眠っているよりはいいだろうということで、継母も弟も黙認している。 そして今日、父にしては珍しいジャンルの『人間生態学』たる本が発掘されたのである。  リーフは本に埋もれた揺り椅子に座り、もくもくと読み始める。  数時間後、ある一文を見つけ、勢いよく立ち上がり駆け出した。  自分と容姿が変わらない弟の名を呼びながら。  「ブラン!ブランどこにいるんだ!すごいこと発見したぞ!!」
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