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「えっ!?こんな廃村に子供?」
にっこりと微笑むその子は僕達にけいかいする事なく近寄ってきた。
「コロポックルか~。初めて見たよ~。可愛いね~。」
「銀髪のお兄ちゃんが此所に居れば友達が来るから、ご飯食べなって言ってくれたんだ。」
「大丈夫だよ~。その子はアイヌに伝わる〈精霊〉なんだよ~。悪い子じゃないよ~。」
最初は驚いたが、普段から秀君と行動する僕達は直ぐにその子を受け入れた。
秀君の家の従者さんに小学校の〈霊〉や姫の〈人形〉、雪子ちゃんとの出会いで〈霊〉や〈妖〉にだって人間に好感を抱く存在があるのを知っているから。
〈精霊〉だって同じだと思った。
「なにこの子。可愛い~。」
麻美ちゃんはすっかり気に入ったようで、コロポックルを抱き締めていた。
「お名前は何て言うの?」
「名前なんてないよ。私達には必要ないから。」
秀君が言っていた。
〈霊〉は生前の名前があるが、〈妖〉には一部例外はあるが決まった名前などない。
名前は人間だけの特権みたいなものであり、野生の動物や植物に個々の名前がないのと同じであると。
ペットに名前を付けるのも人間が勝手に付けたものであるんだから。
「ん~。じゃあコロポックルだから、コロちゃんって呼んでいいかな?」
「それが僕の名前?初めて名前を貰った。」
コロポックルはとても嬉しそうに麻美ちゃんを見つめていた。
昔、秀君の従者の人が言っていた。
〈妖〉が名前を貰うのは何よりも嬉しい事なのだと。
秀君の家の従者さん達は名前を貰い、秋津の姓を名乗る事を許されている。
「従者とか主人とかじゃないんだ。俺達は家族なんだよ。家族なら同じ姓を名乗るのは当然だろ?」
秀君の言葉が脳裏を過った。
僕はにこやかに7人分の皿にご飯をよそった。
「いい臭いだな。やっぱりキャンプにはカレーだな。」
秀君が夢乃ちゃんを背負い帰ってきた。
夢乃ちゃんの無事に僕達は喜び、一時ではあるが、楽しい時間を過ごした。
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