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「カレ~カレ~私の彼はカレ~好き~。」
姫野さんが謎の歌を歌いながら料理を進める。
姫も一緒に手伝い料理が出来ない麻美ちゃんは姫に教えられながら不器用ながらも野菜を切っていた。
テントを建て終えた僕は焚き火で御飯を炊いていた。
「何かさ学生時代を思い出すよね。夏休みになるとさ、皆でキャンプしたよね。」
「昼は泳いだり魚釣ったりしたっけ。男子の一人か二人は必ず川に落ちてたわよね。」
「夜は皆で料理してね。花火して胆試しするんだけど、それが大変だったよね。」
「ん~?どして~?」
「男女ペアで胆試しするんだけどさ、くじ引きなんだよ。それで女子は秀君とペアになりたがるんだけどさ……」
「あのバカ〈霊〉が何処に居るか業と教えて私達を怖がらせるのよ。それ見て大爆笑するんだから、ホント性格悪いわ。」
「秀人らしいね~。私も小さい頃はよく苛められたよ~。」
「えっ?でも、姫野さんも〈霊力〉強いんだから見えるんだから平気じゃないの?」
「私が見えるようになったのは10歳ぐらいだからね~。それまでは〈霊〉や〈妖〉が怖かったのさ~。秀人の家の従者の皆は平気だったけどね~。でも最後には手を繋いで歩いてくれるんだけどね~。」
以外だった。
姫野さんが知らない秀君を僕達は見てきた訳だが、逆に姫野さんしか知らない秀君も居るわけだ。
「私はさ許嫁の話、満更でもないんだよね~。秀人以外の男の人を好きになるなんて考えられないしさ~。でも、私も秀人も自由人だから仕方ないのかもね~。」
カレーのいい臭いが辺りを包み込む。
ご飯もいい感じに炊けてきていた。
すっかり日も暮れランタンと焚き火の灯りが幻想的だった。
「姫っち~。お皿1枚少ないよ~。」
6人分の皿を用意する姫。
僕に秀君、姫に麻美ちゃん、姫野さんに夢乃ちゃん。
足りてると思うけど……
「あの子の分も用意してあげてね~。」
姫野さんが指差す方向には、いつの間にか小さな子供が木の陰からこちらを見ていた。
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