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「と~りゃんせ~と~りゃんせ~こ~こはど~この細道じゃ~天神様の細道じゃ~ちょ~っと通してくだしゃんせ~御用のないもの通しゃせぬ~この子の七つのお祝いに~お札を納めに参ります~行きはよいよい帰りはこわい~こわいながらも通りゃんせ~通りゃんせ~」
いきなり寝ていた姫野さんが唄い出した。
「あ、あんたね!?只でさえ怖いんだから変な歌を唄わないでよね!!」
「にゃはは~。ごめんね~。でも、さっきから聞こえるんだよ~。多分、秀人にもね~。」
バックミラーで後ろを確認すると、いつの間にか秀君も起き上がりタバコに火を点けていた。
「……〈とおりゃんせ〉か……さっきから五月蝿くて眠れやしない……」
「歌なんて聞こえないよ?それに、聞こえてたら麻美が大騒ぎするし。」
確かに姫の言うとおりだ。
僕達には歌なんて聞こえない。
「恐らくは俺と栞の〈霊力〉が高いからか、意図的に聞かせているんだろ?いい迷惑だぜ。」
「私は懐かしいけどね~。よく秀人のお婆ちゃんが唄ってくれたよね~。昔は意味が全然解らなかったけどね~。」
意味?
そう言えばこの歌の歌詞の意味は何なんだろう。
前半はまだ解るけど、後半の〈この子の七つのお祝いに〉〈行きはよいよい帰りはこわい〉って何なんだろう?
僕は秀君に聞いてみる事にした。
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