一章、『滅びの町のダイドダイド』

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「――――あっ。あの、その……。」  いきなり現れた、少女の蚊の鳴く様な疑問に答えるべく、ファウィルは口を開く。少女は、微妙に警戒しているのか一歩下がって、大きな赤い目をジト目にしながらファウィルの様子を伺っている。 「し、死の魔女、ダイドダイドさん……ですっ、か?」  彼女は、しばしファウィルを眺めた後に、熊のぬいぐるみで口元を隠し、怪訝そうに声を出した。 「えと……いかに………も?」  確かに私はダイドッドゥアイドだけどと少女は呟く。 「あ……えぇと、僕はファウィルです。」 「…………うん。ファウィルは、どうやってここに入ったの……どういう事なの……。」 「えっ……いや、普通に入れたんですがそれは……。」  ファウィルの言葉に、あぁ、と少女は呟いた。 「……貴方のお母さん……いや、おばあちゃん、かな? おじいちゃん?  ……まぁいいや。血族の誰か、この町の人だったの?」  ダイドダイドの言葉に、ファウィルは少し驚いた顔で頷く。 「そっかぁ……そっかぁ……。」  抑制の無い声色でそう呟いて、一人納得した様子でくるりとダイドダイドは身を翻す。そして、おいで。そう一言だけ呟いた。
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