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「――――あっ。あの、その……。」
いきなり現れた、少女の蚊の鳴く様な疑問に答えるべく、ファウィルは口を開く。少女は、微妙に警戒しているのか一歩下がって、大きな赤い目をジト目にしながらファウィルの様子を伺っている。
「し、死の魔女、ダイドダイドさん……ですっ、か?」
彼女は、しばしファウィルを眺めた後に、熊のぬいぐるみで口元を隠し、怪訝そうに声を出した。
「えと……いかに………も?」
確かに私はダイドッドゥアイドだけどと少女は呟く。
「あ……えぇと、僕はファウィルです。」
「…………うん。ファウィルは、どうやってここに入ったの……どういう事なの……。」
「えっ……いや、普通に入れたんですがそれは……。」
ファウィルの言葉に、あぁ、と少女は呟いた。
「……貴方のお母さん……いや、おばあちゃん、かな? おじいちゃん?
……まぁいいや。血族の誰か、この町の人だったの?」
ダイドダイドの言葉に、ファウィルは少し驚いた顔で頷く。
「そっかぁ……そっかぁ……。」
抑制の無い声色でそう呟いて、一人納得した様子でくるりとダイドダイドは身を翻す。そして、おいで。そう一言だけ呟いた。
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