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「その、単刀直入に言うと……助けて、欲しいんだ。」
ファウィルの言葉を聞きながら、ダイドダイドは黒い髪をかるく弄る。
「正確には、僕じゃあなくて妹なんだけど……。」
「……うん。えっと……状況は、どんな感じなの……?」
ダイドダイドは変わらず不健康そうな顔で呟いて、端正な顔立ちをしているファウィルの青い瞳をジッと見る。
「その、悪霊に……襲われてるんだ……。」
「……悪霊?」
幽霊なんて、本当に稀も稀だけどとダイドダイドは思う。
「……妹さん、大丈夫なの?」
「今はその……おばあちゃんが、ダイドダイドさんに貰ったって言う御札のおかげで大丈夫……だよ。
三日は大丈夫って、書いてあったけど……。」
『ふむ。それならよっぽどの事が無い限り大丈夫だね!』
「!?」
ダイドダイドが、ボロい熊のぬいぐるみを口元にやったと思うと……いきなり喋り出した。様に見えた。
これが魔法かと思ったが、ファウィルは知っている。多分これはただの腹話術だ。魔法でもなんでもない。
「あ。紹介がまだだったね……。
この子はクマキチーニョ七世。 えと、私ことダイドッドゥアイドの相棒なのであるー……。」
『ふふ、よろしくね!』
「は、はぁ……。」
ファウィルはしばし目をパチクリさせていた。
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