一章、『滅びの町のダイドダイド』

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 魔女は魔法を使うらしい。生憎、ファウィルの住む『マドファズア』の国には魔法という文化はあまり浸透していないので、詳しくは無い。  異国から来た人がたまに見せる事がある程度である。  とはいえ、腹話術にしか見えなくてファウィルは聞いてみる事にした。 「あの……それ、腹話術……」 『じ、自演じゃないぞ!!』  急に血相を変えるダイドダイドに、ファウィルはびっくりする。 『フーッフーッ、じ、自演じゃないからな……僕は自演じゃないからなっ!』 「そうだよ……クマキチーニョ七世は、自演なんかじゃないよ……。」 『そうさ!僕はダイドッドゥアイドの自演なんかじゃないさ!』  同時に喋る事が出来ないらしく、交互交互に喋るダイドダイド。 「つまり僕は!……あ、間違えた……」 『と、とにかく自演じゃあないんだよ! だからこの話題はおしまい!』 「自演の話しは、ジエンドさ! ははは!」  また間違えているダイドダイドに、ファウィルは「は、はぁ……その、なんかごめんなさい」とだけ言った。
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