一章、『滅びの町のダイドダイド』

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「あ……」  思わずファウィルの口から声が盛れた。本当に辿り着けるなんて……町の周囲は木々が無い。町の先には、大きな山が見えた。鉱山だろうか。  ゴクリとファウィルは喉を鳴らして、町の中に入って行く。  割れた窓だらけの木造の建築物だらけの家々。人の気配は一切無い。  果たして、いるのだろうか? その『死の魔女』は。  力になってくれるだろうか? ふと疑問に思わずにはいられない。だけど、ここまで来たのだ。  頑張ろう、と呟いて町の曲がり角をまがると。 「―――――ッ」  そこには、黒い衣装を身に纏った女の子。見た目はファウィルより二歳くらい年下で十四くらいだろうか。  黒い上着は首の辺りがよれよれで、左肩は無事だが右肩は腋までそのえらく白い肌を露出させている。  黒い、フリルの着いた可愛い感じのスカートは大体膝までの長さ。右足は黒いブーツ。左足はスニーカー。っぽいやつ。  黒い髪は、前髪を眉毛が隠れた辺りでパッツンっぽい感じにさせていて、後ろ髪は肩にもかからない程度だがもみ上げの辺りが長い。左右のもみ上げを、白いリボンで縛ってあった。  死人みたいに白いというか蒼白い顔色と赤い瞳。片手にはボロい熊のぬいぐるみと片手には長い柄の物。先端には農作業に使う程度の鎌が着いている。柄の長さ的に、それは大鎌と呼べるのだろう。 「――――えっ。だれ……?」  黒衣の白い少女は。ファウィルの姿に目を丸くしながら、ポツンと抑制の無い小さな声で呟くのであった。
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