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そんな大きな誤解は自分が知らない所で拡大する。上級学年にも噂が広まり、校内最強の女がいるって話題になれば……
力を誇示したい三年生の男子やら女子の不良さんが襲って来た。
そりゃあ、襲われれば身を守るのは当たり前じゃない。でも、私も未熟だったかも知れない。襲って来たとは言え、加減を間違えて結構痛めつけてしまったのだ。
……で、当時の不良グループからお前が引き継いでくれとかなんとか。
断ったはずが、気づけばこんな感じで二年生の五月は憂鬱になりながら、出席しては適当に授業受けてサボったり。
完全に不良のレッテルを貼られた訳で、あまり面倒事には首を突っ込みたくない性格だから、取り敢えずなるようになれって感じである。
教室に戻ればガヤガヤと楽しげに喋るクラスメイトを他所に、鞄を片手にすると何事も無く下校をする。
学校を出て電車に乗って、自宅まで戻る移動距離は約四十分位。学校に近ければ近い程、名前と顔が知れ渡っているので、取り敢えず地元は落ち着きあるから助かるもの。
自宅は比較的栄えている方か。コンビニやら大型ショッピングセンターも近く、利便性は中々悪くはない。
駅から自宅までは徒歩十分位で、いつ通りに途中コンビニに寄ろうとした。
「う~ん、う~んんん」
「……?」
入口付近で踞りながら何かうなり声を上げる少女に目が止まる。
なんか苦しんでいる? 流石にただ事ではなそう。
「どうかしたのかい?」
「――にゃぅ!?」
……にゃぅ? 聞き慣れない単語を放ち、なんとも言えない高い声を響かせ、少女はガバッと立ち上がった。
「……いや、苦しそうにしていたから」
「――苦しくないです! 見当たらなくて息苦しくなったんです!」
「……そうか。大丈夫だな」
「――大丈夫じゃないです~、寧ろだいじょばないんです~!!」
ふるふると今にも泣きそうな少女は、必死にすがるように此方へ訴えるが、何がなんだかさっぱり分からず口が軽く半開きになっていた。
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