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どんどん先を歩いて行く
彼の後を小走りで付いて行く。
「ねぇ、待って。」
そんな私の言葉も
彼には届いていないようだ。
―――仕方ない。
言っても無理なら
行動するしかない。
私はやっとの思いで
彼に追いつくと、
そっと彼の右手に触れた。
その瞬間だった。
パッと手を振り払われる。
・・・え?
「な、にしてんの」
驚いた様子の和人。
でもそれ以上に
私の方が驚いている。
行くぞ、と何もなかったように
再び歩きはじめる和人。
その後ろ姿を見つめ
私はただその場に
立ちすくんでいた。
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