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そして、それから一時間ほど経っただろうか。
早苗は上海、萃香と一緒に一足先に地上へ登った。
さとりとこいしに連れて行かれ、春良は地霊殿に戻ってきていた。
「他のみんなは?」
「四人は温泉後、繁華街の方へ行きましたよ」
「『にじかい』だって! だから、今は私達が案内するね!」
地霊殿は言うまでもなくかなり広い。
まるでダンスホールと見間違うほどの玄関から始まり、更に大広間。
廊下も恐ろしいほどに長く、案内がないとすぐに迷ってしまうのは確実だろう。
「……とりあえず、部屋は私の部屋の隣で構いませんか?」
「え? あ、うん。寝られるところがあれば、どこでも」
「お姉ちゃんの部屋の隣ね! じゃ、後で私の枕もってくねー」
「枕は持参するのか?」
「んーん! 私もお兄ちゃんと一緒に寝るんだよ!」
「こ、こいしっ!」
ぴょんぴょんと跳ねながら歩くこいしをさとりが一喝する。
だが、こいしは何故怒鳴られたか分からないようで、きょとんとしていた。
「別にいいでしょ? 私お兄ちゃんのこと好きだし」
「……こいし、この際だから言っておくけれど……」
「さとり、良いよ。俺が言うから」
「お兄さん……」
とりあえず、せっかく修復した姉妹愛を崩すことは避けたいので、春良が二人の間に入った。
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