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「乾杯!!」
その夜、予約していた飲み屋に集まった秀昭達のクラスメートは皆、ビールが注がれたコップで、全員一斉に互いに乾杯し合った。
「いやぁ、皆久しかったなぁ!」
「本当!」
「こうやってみんなが集まったのって、今回が初めてじゃない?」
「言われてみれば、そうだな」
「小学校卒業した後、何人か別のところに引っ越しちゃったじゃん」
「そうよね………
確か引っ越したのって、秀昭と優哉と直輝………
それから、夏海と静香の5人だったよね?」
「うん………」
「けど、引っ越し先でもスッゲェ偶然があったんだぜ!!
なっ!」
そう言いながら秀昭は隣に座っていた優哉の肩に手を乗せながら話を振った。
「おうよ!!」
「何?偶然って?」
「なんと!!
俺達5人とも、同じ中学だったんだよ!!」
「しかも、同じクラスだ!」
「嘘っ!?」
「スゲェ!!」
「“偶然”と言うより、“奇跡”よ……」
「それから、高校卒業までずっと一緒!」
「へぇ………」
「と言っても、私と秀昭は一緒の大学に行ったんだけどね」
「え?そうなの?!」
「私達だけじゃないよ。
直輝と静香も一緒の大学よ」
「えっ!!俺だけ?!俺だけ、仲間外れ?!
イジメだイジメだ!!ウワァーーー!!」
畳を叩きながら、優哉はその場に座り込み顔を畳に伏せ、大声で泣きわめいた。
そんな光景を見ながら、クラスメートは手で耳を塞ぎながらため息をついた。
「そういえばさ、光野さんって元気?」
「え?光野?」
その名前を聞いた途端、泣きわめいていた優哉が突然泣くのを止めた。
「光野って………
誰だ?」
「ほら、いつもあんた達と一緒にいたじゃん!」
「…………
?」
「まさか、本当に覚えてないのあんた達………」
「う~ん………
いたような………いなかったような………」
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