はじまり

12/18
前へ
/23ページ
次へ
「くそ!! 全然進まねぇ!!」 実家から出て約二時間後……… 案の定、帰りの道で渋滞に引っかかった秀昭の車……… 車が全然進まないのに、苛立った秀昭はハンドルに八つ当たりした。 「ハンドルを叩かないの!」 「だって、全然進まねぇんだぞ!! もっと早く出てれば、こんな事には………」 「まさか……… この渋滞、俺のせい?」 「九割はそうね……… 後の一割は、単なる運がなかっただけかな」 「夏海に一票………」 「僕も」 「………… ごめん………」 「優哉を攻めても、仕方ねぇし……… 早く進め!!前で何があったんだ!!」 「一々キレないの!」 「うるせぇ!!」 「ねぇ……… パーキングエリアに寄って、少し休憩しよ。多分、秀昭君疲れてるんだよ……」 「うるせぇ!!俺に指図すんな!!」 「ご、ごめん……」 「ちょっと秀昭!!直輝に八つ当たりしないの!!怖がってんじゃない!!」 「ああもう!!どいつもこいつもうるせぇ!!」 「秀昭、少し落ち着け。 ほら、もう少しすればパーキングエリアの入り口だから、入って昼飯食おうぜ! 俺、腹減っちまってさぁ」 「夏海……こいつ」 「車降りて、人気のないところでやりなさい………」 「え?何? 俺なんか、変なこと言ったか?」 優哉の質問に誰も答えず、ただ車内に沈黙が広がった。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加