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それから間もなく、秀昭達はパーキングエリアに着いた。車から降りた秀昭は、優哉を誘い人気のない場所へ向かった。
その様子を夏海達は哀れな目で、優哉を見送り店の中へ入り、先に昼食を取った。
「オーイ!帰ったぜ!」
3人が昼食を食べ終わった丁度その時、ご機嫌な様子で手を振りながら夏海達の席に近付いた。
「秀昭ぃ、ご機嫌だねぇ……」
「あの野郎を殴ったら、すっきりしたぜぇ!」
「やっぱり………」
「で?その野郎は?」
「あぁ、気を失ったから車に乗せといた。」
「気を失ったって…………
それ、やり過ぎじゃない?」
「良いのよ、静香」
「けど……」
「こんな事、中学・高校時代いつもそうだったじゃない」
「それでよく、先生に呼び出し食らって、反省文書かされてたみたいだけど………」
「悪いか?直輝」
「い、いや………
ベ、別にそんな………」
「秀昭、直輝をいじめない!」
「まだ、何もしてねぇだろうが!!」
「秀明君も夏海も、喧嘩はそれくらいにして、早く出発しましょう………
じゃないと、今日中に帰れないよ?」
そう言いながら、静香は壁に掛かっていた時計に指さした。時刻は午後1時30分を指していた。
「ヤべッ!!
早く、出発しねぇと!」
「でも、今から出発しても………
今日中に帰れない可能性が………」
「?どういうことだ?それ」
「ほら、テレビ……」
壁に掛けられた大型のテレビを、直輝は指差した。秀明と夏海、静香は直輝が指差した方へ顔を向けた。
『今日は、連休最終日のせいか都会へ続く高速道路は、各地渋滞が発生しており、中では事故を起こす車やバイクも見かけます。
それでは、お天気です………』
「…………
お前等、バイト先に電話しとけ………
“明日のバイト、急用でで行け無くなりました”って」
「え?」
夏海達にそう言うと、秀明はとぼとぼと店を出ていった。そんな情けなくなった秀明の背中を夏海は溜め息を就いた。
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