はじまり

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車のクラッシュ音で、後部座席で寝ていた優哉は、目を覚ました。 目を擦りながら、優哉は車窓の外を見た。外は雨が降っているせいか、ずぶ濡れになっており、ポツポツと雨粒が当たっていた。 「あれ? もう着いたの?」 「うるせぇな!!!一々指図すんな!!!」 「またそうやってキレる!! 物事が上手く進まなくなると、そうやってキレるところは、昔っから変わんないんだから!!」 「ちょっと2人とも、辞めなよ!」 「直輝は、黙ってろ!!!」 「ご、ごめん………」 「直輝に当たんないの!!」 黙り込んだ直輝を、静香は肩に手を乗せながら頷き、直輝を席に座らせた。すると静香は起きた優哉に気付いたのか、後ろを振り向いた。 「あ!優哉君、起きたんだ………」 「あ、あぁ……… なぁ、2人(秀明と夏海)、どうしたんだ?あんな大喧嘩して………」 「それがね……… お昼食べてすぐに高速に出たんだけど……… 渋滞に巻き込まれちゃって、未だに進んでないのよ………」 「え?エリアから出てからどのくらい経つんだ?」 「もう、五時間なんだけど………… 全然進まないの……… それが原因で、秀明君イライラしてるの。運転のストレスが原因だと思って、夏海が落ち着かせようと、話しかけた途端、秀明君逆ギレしちゃって……… それを直輝が仲裁に入って、止めようとしたんだけど秀明君、相当キレてるみたいで、直輝に凄く八つ当たりしてくるの。」 「仕方ねぇよ……… 秀明は昔から、キレると手が着けられないからなぁ」 「そうだよね……… それにしても、どうしたんだろ……… こんな渋滞になって……… 何か、事故でもあったのかな?」 そう言いながら、静香は車窓の外を眺めた。優哉は溜め息を就きながら、席に座り外を眺めた。 (そういえば……… あの夢、何だったんだ?) 外を眺めながら、先程見た夢を思い出していた。 どこかの高台……… 中学の学ランを着ていた自分(高校はブレザー)の隣に、横髪を胸まで伸ばしたショウトヘアーの少女?が、立ち自分と約束を交わした光景………… 『僕、ずっと優哉君の名前呼んでるから………』 (“僕”………… あれって、ホントに女だったのか? そもそも、何で俺あんな夢を?)
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