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「え?」
そのような声を、直輝は聞こえたのか学校の方に顔を向けた。窓には人の影一は無く、全体を見ても声の主はどこにもおらず、あるのは周りに生えている木々や“二ノ宮金治郎”の銅像だけだった。
(あれ?
今、声がしたような………)
「直輝ぃ!
校長の話があるから、席に戻れだって!」
「あ、分かった!
…………(気のせいかな)」
後ろを振り向きながら、半信半疑のまま直輝は夏海達の方へ走っていった。
そんな直輝を見届けたかのように、そよ風が吹き当たりの木々がざわつき、それと共に“二ノ宮金治郎”の銅像が無くなったことを、誰も知る由もなかった。
それから間もなく、校長先生の話が始まった。だが話を聞いているのは中年になった卒業生だけで、直輝達の代の生徒達は皆、ペチャクチャとお喋りをしていた。
「とうとうこの学校とも、本当のお別れか…………」
「何か、嫌だなぁ………」
「ま、いつかは潰れるかとは思ってたけど、まさかこんな早くにつぶれるとは、思わなかったぜ………」
「さっき先生から聞いたけど、最後の卒業生を見送った後に、取り壊しが決定したんだって」
「最後の卒業生って確か………」
「男女4人だ…………ったく少ねぇよな。
俺ら何か、17人だったのによ」
「あれ?17人だったっけ?」
「?そのはずだけど、何で?」
自分達のクラスの人数を秀昭が話すと、人数に疑問を思ったのか静香がく首を傾げなから、秀昭に同じ数を繰り返し話した。
秀昭はそんな静香に、答えながら静香に問い掛けた。
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