はじまり

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「あったけ?そんな話」 「後輩から聞いたんだけど、私達が卒業して何年か経ってから、この教室に出るようになったんだって。 朝晩関係なく、この教室に誰もいないとき誰かがここから、いつも校庭を眺めているんだって」 「必ずいないときか、それ」 「うん。 以前教室に誰かがいるもんだと思って、校庭で体育の授業をしてた先生が教室を見に行ったら………」 「行ったら?」 「…………… 誰もいなかったんだって。 それに、閉めたはずの窓が開いてて、窓の縁にはさっきまで座っていた痕跡と、窓ガラスが少し湿ってたんだって………」 「それって………」 「今起きてんのと、同じじゃねぇか」 「うわ、怖っ」 「秀昭ぃ!夏海ぃ!直輝ぃ!静香ぁ!優哉ぁ!」 秀昭達の名を呼ぶ声がし、秀昭達は窓から外を見た。 外には秀昭達の姿を見つけたポニーテールの髪型をした女が、手を振りながら大声で秀昭達の方に向かって口を開いた。 「今から、飲み屋に行って私達の代の二次会やらない?」 「って言ってるけど、どうする?」 「私は大丈夫よ」 「僕も大丈夫」 「俺も」 「俺もだ」 「決まりね。 私達も参加って事でよろしくぅ!」 そう叫ぶと、ポニーテールの髪型の女は、親指を立て了解と言い学校を出た。 女が出て行ったと共に、秀昭達も教室を出て学校を後にした。 『もう少しで……… 君達を最恐の世界へ、ご招待するよ………』 開けっ放しの窓の近くに、人影が現れ校庭を駆け抜け、門を抜け出て行く秀昭達の後ろ姿を眺めた。
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