木戸先生と私

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最初はたいして印象にも残っていなかったように思う。 だけど肉を焼いている間も、焼けた肉をみんなに配っては戻って来て、ビールを取りに行っては戻ってくる。 椅子があるわけでもないのに。 「木戸君ビールは?」 「1本もらう」 「はい、どうぞ」 「サンキュー」 気がつけばいつの間にか由紀子は俺の横が定位置になっていて。 誰かが俺達をくっつけようとしたわけでもなく、自然とそうなっていた。 実は別のメンバーが由紀子を狙っていたというのは後から聞いた話。 「パラソルに入ってればいいのに」 他の女子2人は優雅にパラソルの下で仲間達と食べている。 「だって木戸君1人じゃ寂しいでしょ。それにこのほうが楽しいからいいの」 ただ座って食べてるだけなら焼肉屋と変わらない、なんてちょっと変わった子だと思った。 「女の子はそういうのがいいんじゃないの? 日に焼けるとか暑いとか言うだろ?」 「そうかもね。でも普段なら日焼けは嫌だけど、せっかく海に来たんだし」 .
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