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電話を切ってポケットにしまう。
「あ、花火」
砂浜で花火をしているのが見えた。
地面から噴出す明るい光のシャワー。
大きな音を立てて飛び立つ打ち上げ花火。
手持ちの花火を振り回して走る姿が楽しそうだ。
「花火持って来ればよかったね」
「男ばっかりの予定だったから忘れてたけど、次は持って来よう」
「うん」
言ってから気がついたけど、次も一緒に行こうって誘ってるみたいだ。
「み、みんなで、花火したら楽しいだろうな」
「うん、そうだね」
俺の動揺に気付いているのかいないのか、由紀子はニコニコと笑っている。
もうこれは押すしかないんじゃないか?
ちょっと緊張するけどこのチャンスを逃す手はない。
「次の土曜日、花火大会あるけど行く?」
「行きたい。浴衣着ていこうかな」
水着の次は浴衣、なんて贅沢な夏なんだろう。
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