木戸先生と私

25/40
733人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
   * * * * * * * * * * * * 「花火大会行ったんですか?」 「うん、午前中雨が降ってたから中止になるんじゃないかと思ってたんだけど、夜には雲ひとつなくてね、凄く綺麗だったんだ」 「良かったですね。初デートが上手くいって」 「ありがとう」 学生時代の木戸先生ってどんな感じだったんだろう? 今みたいに建築のことになると、ほかの事を忘れて夢中になっちゃってたのかな? 「大学も建築関係ですよね。由紀子さんもですか?」 「いや、彼女は教育学部。小学校の先生になりたいって言ってた」 「へぇ、小学校の先生ですか」 「そういえば、僕ってすぐ仕事に夢中になっちゃうでしょ」 「はい」 「あの頃も珍しい建築物見つけたりするとすぐ立ち止まっちゃったり、美術館なんて一日中同じ展示物の前で眺めてたり、どうしても周りが見えなくなっちゃってたんだよね。だから小学生と一緒にいるみたいだってよく言われた」 昨日今日のことではないと思っていたけど、やっぱり学生時代からそうだったんだ……。 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!