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嘘、ほんとにいたし。
周りからひとつ飛び出たライオンみたいな頭。
集団の中心で何がそんなに楽しいのかってくらいケラケラ笑っている。
当たり前だけどほんとに高校生なのよね。
制服姿の彼を見て、新鮮な気分になる。
声を出せば会話できるくらいの距離なのに、そこは何だか遠い世界みたいだった。
見えない壁がある。
年齢のギャップもそうだけど、もし今私が高校生だったとしてもあの集団には入れそうにない。
純情系女子高生の瑠奈ちゃんもあそこにいるの想像つかないけどね。
そのギャップは愛の力で埋めるんだろう。
私は埋める必要ないからあえて声をかけることもない。
普通に通り過ぎればいい。
健太郎がその集団にいるのはすごく自然で、むしろ健太郎を中心に皆が集ってるような雰囲気さえある。
ホントに何であのカフェでバイトする気になったんだろう。
「……」
やっぱり帰ろう。
今夜は合コンだし。
家帰ってメイク直して。
髪の毛もいつもより気合い入れて巻かなきゃいけない。
私は来た方向へとクルッと方向転換して駅へと戻って行った。
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