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「萌愛ちゃん、瑠奈ちゃん。もう上がっていいよ」
レジを閉めながら店長の野上さんが私たちにバイトの終わりを告げる。
今日はお客さんが途切れたから早めの店じまいみたい。
「健太郎にも言っておいて」
「はーい」
瑠奈ちゃんと厨房の奥にある更衣室に向う途中で、裏口から帰ってきた健太郎と鉢合わせる。
「健太郎くんっ。もう上がっていいって」
健太郎と話す時に弾むような声になる瑠奈ちゃんは、ホントに健太郎のことが好きなんだろうなーって感じがして可愛い。
「あ、マジでー。あんがと」
健太郎はニカッと八重歯を見せて嬉しそうに言った。
それだけでウキウキと瑠奈ちゃんの足取りは弾むようだ。
恋してるっていいなー。
更衣室で瑠奈ちゃんと二人で着替える。
ロッカーを開けるとすぐに瑠奈ちゃんがため息をつくように言った。
「健太郎くん……。格好良いですよねー……」
健太郎と言葉を交わせた余韻に浸っているのか、夢心地な表情で瑠奈ちゃんが呟く。
「まあ、そうだね」
「萌愛さんは健太郎くんに興味ないんですか?」
意外な目を向けてくる瑠奈ちゃんに私は苦笑した。
「格好良いかもしれないけど高校生はちょっとね」
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