年下の彼

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健太郎は整った顔ってよりも、魅力のある顔っていうんだと思う。 大きくはないけどくっきりした二重の目。 だけどいつも笑ってる大きな口と八重歯の方が断然印象が強い。 さりげないお洒落。 何より気さくで明るい。 健太郎の纏う雰囲気そのものが、こいつかなりモテるんだろうなって思わせる。 意外に礼儀正しいし。 野上さんにも私にもちゃんと敬語で接してくれる。 手先も器用で何でもそつなくこなすタイプ。 そんな常に皆の中心にいるのが似合うような子が。 なんでこじんまりとしたカフェに一年前突然バイトとして入って来たのかは謎。 謎っていうか単に私が聞いてないだけだけど。 「寒っ」 裏口から外に出た途端刺すような冷気が身体を縮こまらせる。 春休みと言っても大学の授業がもうほとんどないってだけで、世間は2月。 冬の真っ只中だ。 「寒ーい」 後からでてきた瑠奈ちゃんも同じ言葉を口にしてマフラーに顎をうずめる。 「お疲れーっす」 丁度、健太郎がバイクを引いて店の裏から出てきた。 「バイク寒そう」 私は手袋で口元を覆いながら言った。 「後ろ乗せてってあげましょうか?」 健太郎は白い息を吐きながらニカッと笑う。 「冗談! 顔が凍っちゃうわよ」
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