出会い

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出会い

―8:09 校門 おれたちは 何とかギリギリ 始業前に校門にたどり着いた。 そして 校舎前に張り出されていた クラス名簿を見て 自分のクラスを確認して 体育館へ向かった。 「よかったなー 三人とも同じクラスで」 敏樹は 満面の笑顔を おれと彩乃に向けて 歩いていた。 「おい ちゃんと 前みて歩けよ 敏樹」 「だいじょう―」 敏樹が おそらく 「大丈夫」と 言おうとしたその時― 「―ぶ!?」 ドンッ と 強い衝撃が 敏樹の細身の体に加わり 敏樹は その場に 尻餅をついた。 「イタタ…」 「大丈夫 敏樹?!」 彩乃は 敏樹にぶつかった人物を睨み 立ち上がって その人物に詰め寄った。 「ちょっと! 敏樹に謝りなさいよ!」 彩乃が掴みかかった 人物は 身長180cm以上ある大きな 男だった。 「…うるせぇ女だな」 男は 睨んできた彩乃を 逆に睨み返してきた。 「な、なによ!」 「いいか? 歩いている時に よそ見をしてたのは そこのバカだ。だから むしろ オレは被害者だぜ?」 男は 意地の悪そうな顔を 傷だらけの顔に浮かべ 彩乃の頭を 軽く 二回叩いて笑った。 「じゃあな 早くしないと 始業式に遅れるぜ」 男は そう言って その場を後にしておれたちが 来た道の方へ 歩いて行った。 「大丈夫か 敏樹?」 「うん だいじょぶ…」 おれは 相変わらず 尻餅をついていた 敏樹を立ち上がらせた。 「なんなのよ アイツ!」 「芳賀 義弘…不良よ」 『―!?』 おれたちの目の前に 現れた一年上の先輩… この人との出会いが 今後のおれの学園生活に 大きな影響を与える事になるとは この時のおれは 予想だにしなかった…―
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