ウソつき律

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「だから それが おかしいんですよ」 「何が―」 「さっきあなたは 『殺害の瞬間は見ていない』と 仰ってましたよね? なのに 今は 『刺し殺し』と言った… 殺害の瞬間を目撃していないのなら 刺し殺したなんて 分からないのでは…?」 「それがどうした……? 言ったはずだよ。 事件が起きて 外に出たって」 「それだけでは ありません」 そろそろ 追い詰めるか… 「どうして犯人が 芳賀 義弘だと 分かったんですか?」 「え…? いや だって それは…―!?」 「あなたは 芳賀 義弘とは 面識が なかったんですよね? だったら なぜ 犯人が 芳賀 義弘だと 分かったんですか?」 「う、うるさい…! うるさい! うるさい! うるさぁーい! 黙れ!!」 若槻は 髪を振り乱し 逆上した。 次のカードで チェックメイトだ。 「最後に 一つ 質問させてください」 「……何?」 若槻は 乱れた白衣と 髪を整え 席についた。 「あなたは 非常ベルの音を聞きましたか…?」 「聞いたよ。 その音を聞いて 外へ出たんだから」 「若槻さん… あの非常ベルは 鳴らないはずなんです」 「そっか…そうだったんだ……」 「若槻さん。 話してくれませんか? 事件当時 何があったのか 本当の事を あなたの言葉で…」 「分かった。 全部 話すよ 本当の事を」 若槻 律のウソを暴いた。 ついに 事件の核心に迫れる。 郷田 健康 先生を殺害し 若槻 律にウソをつかせた 犯人は……一体 誰だ?!
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