2295人が本棚に入れています
本棚に追加
屋上の二人
―9:50 北棟 屋上
この 学園は 北 東 西の三棟で構成されている。
正門から向かって 真ん中にあるのが 北棟…高等部の校舎だ。
右が 初等部の東棟
左が 中等部の西棟
となっている。
そして それら三棟の裏手に 特別棟があり 職員室や 先ほどいた科学準備室や 音楽室 美術室などもある。
特別棟の 隣には 図書館 があり 図書館から 10m離れた所に 体育館がある。
体育館の向かい 5m先に 武道館がある。
「―と こんなところか」
おれは 屋上から 学園全体を見渡し 見取り図を描いてみた。
「ダメ。 やっぱり 分からないみたい」
「そうですか…」
何故 おれたちが 北棟の屋上に居るかというと…
郷田先生を殺害したとされている 芳賀 義弘に 話を訊く為に彼を探していた。
すると 北棟の屋上によく 来ているという 情報を得て ここまで来たのだけれど 芳賀は 居なかった。
「まぁ 焦っても 仕方ないよ」
高山さんは おれの肩をポンッと叩き 微笑んだ。
そうだよな…
焦る 必要なんかないんだ。
「あの…さぁ」
「ん…? 何ですか?」
「こんな時に こんなこと 訊いたらいけないって わかってるんだけど…」
春の 少し 強い風が吹いている屋上…
高山さんは 何か言いたそうに うつ向き スカートをぎゅっと握った。
「あのさ……」
「………」
すると 次の瞬間 高山さんは 顔を上げ おれの手を握った。
「―?!」
呆然としているおれに対し 高山さんは 不敵に微笑み 目をキラキラと輝かせ おれの手を より強く握った。
「部活に 入らない?!」
「部活…ですか?」
おれは 何を言われるのか 内心ドキドキしていたが それを聞いて ほっとした。
「部活って 何ですか?」
「きっと あなたが 喜ぶ部活よ」
おれが 喜ぶ…?
ますます 分からない。
「ズバリ!」
高山さんは おれの目の前に 人指し指を突きだした。
「探偵部よ!」
「なっ…」
なんだって…!?
今思えば アレが 全ての始まりだった…
おれの 波乱に満ちた 学園生活の幕が 上がった 瞬間だった…―
最初のコメントを投稿しよう!