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探偵部
―10:10 部室棟
部室棟は 特別棟の裏にあり 北棟と 東棟の屋上からは 見えない位置にある。
「着いたわ。
ここが われらが 探偵部の部室よ」
扉にはプレートがはめこまれ 『探偵部』と書かれていた。
「ほら 入って 入って」
高山さんは ほとんど 強引に おれを部室の中へ 引きずり込んだ。
「あ 部長 おかえりなさい」
部屋へ入ると 部屋を掃除していた男の子が 掃除の手を止め こちらへ 近付いてきた。
「入部希望者ですか~?」
「え…? えっと…」
「そうよ! 私が勧誘したんだから」
高山さんは おれと腕を組んで 鼻高々と胸を張った。
だから 胸が あたってるって!
「すごいです~ さすが 真由美センパイ」
そこで 引っ掛かるフレーズが出て来た。
「“真由美”…?
確か 先輩の下の名前は “由美”だったと―」
「スルドイ!」
高山さんは おれに人指し指をを向けて 腕を組み 頷いていた。
「わたしが 見込んだだけのことはあるわ」
「それで “真由美”って…」
「ペンネームよ」
意外とあっさり 答えは出た。
ペンネームか…
「自作の推理小説を書くのが好きで よく投稿や 持ち込みしたり してるのよ」
「先輩の書く小説って おもしろいんだよ~」
「さいですか…」
何かもう 帰りたくなってきた。
「あ 紹介が遅れたけど この子は 朝倉 悠哉くん。
わたしと同じく 二年生よ………一応ね」
「よろしくね~」
「霧生 真悟です。よろしく」
なんというか どこか 抜けてるような…
底の知れない人だな。
「悠哉くん。
真悟くんに お茶だして」
「は~い」
おれより 頭一つぶんくらい小さい体が おれの手を引いていく。
「お客様 一名様 ごあんな~い」
何か しゃべりかただけでなく 見た目も幼いような…この子は 本当に 高校生なのか…?
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