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おれは ソファーに座らせられた。
そして おれは 部屋を見渡した。
部屋自体は あまり 広くはない。
ざっと 畳ニ十畳くらいだ。
意外と 部屋は小綺麗で 書類の整理もされている。
「どうぞ~ カフェオレでよかったかな?」
「……いいです」
またか…
さっき 飲んだ ばっかりなのに…
おれは 目の前に置かれたカップに 並々注がれたカフェオレをしばらく眺め 口に運んだ。
ん……?
何か 妙だな…
「あの……このカフェオレって インスタントですか?」
「うん。
学園の 購買部で買ったものだよ~」
どうりで…
でも だとしたら 妙だな。
若槻さんが出したカフェオレは こんなに甘くはなかったはずなのに…
おれが悩んでいると 部室のドアが開き 首が隠れるくらいの黒髪の女子が 部室へ入ってきた。
「由美 その子?
あんたが スカウトしたって言うのは」
「“部長”って呼びなさい」
高山さんは 頬を膨らませた。
すると その女子は おれの目の前に来て 右手を 差し出した。
「あたしは 朝倉 香澄。
高等部の二年生で そこのぽけ~っとしてる 悠哉の姉よ」
「あれ…? 確か 悠哉さんって―」
「悠哉くんは 飛び級してるの」
「―飛び級!?」
「本当なら 今年から中学生のはずなんだけど…ね」
なるほど…
急激な学力の向上によって 脳が その成長スピードについて行けなくなり 精神的に 幼くなってしまったのか……
「じゃあ そろそろ 本題に入ろうかしら」
「イノカツがまだよ」
「イノカツ…?」
「わたしたちの 顧問の先生よ」
「いのかっちゃんには 後で言っておくから へーきよ」
生徒にあだ名で呼ばれてる先生って…
一体 どんな 教師だよ。
「さて……
短刀直入に言うわよ」
高山さんの真っ直ぐな瞳が おれを捉えたのが 見えた。
おれは 固唾を飲み込んだ。
「ズバリ…!
探偵部に入部しない?」
「すいません」
「―返答はやっ!
しかも 断っちゃうの?」
大体 予想していた質問だった。
おれはもう 探偵を目指すのを止めたんだ……残念だけど…仕方ない。
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