本当の殺害現場

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本当の殺害現場

―10:45 体育館 おれたちは もう一度 現場を見るために 体育館前に戻って来た。 すると まだ現場には 警察がたくさんいて 捜査を続けていた。 「山崎警視! 何か 分かりましたか?」 「君達か……」 山崎さんは 眉間にしわを寄せながら 報告書のような物に目を通していた。 「あぁ 重大な事実が 判明した」 「重大な 事実……?」 おれたちは 固唾を飲み 山崎さんの 次の言葉を待った。 山崎さんは 溜め息を漏らし 口を開いた。 「郷田氏は あの非常ベルの前で殺害されたわけではない……と いう事だ」 「じゃあ 郷田先生は どこで 殺されたの? この 近くなんでしょ?」 「体育館の扉から 出てすぐの所に 被害者の血痕が残っていた」 山崎さんが指差した方を 調べてみると 確かに 血痕が残っていた。 だとしたら おかしいな… 「さらに言うなら あの非常ベルで刺されたとしたら アレに血痕が残されていないと いけないが 血痕が残されていたのは あのスイッチだけだ。 それからは 郷田氏本人の指紋も 検出されている」 「非常ベルから この地点まで およそ 3mくらい離れている…… そして ここで刺されたとしたら トイレからは ギリギリ 郷田先生は見えるけど 犯人の姿は見えない…」 「ちょっと待って。 それって おかしくない……?」 そうだ 恐らく 郷田先生は ここで刺された…… ならば あの人の証言は 矛盾していることになる。 「行ってみましょうよ。 あの人のとこに」 「行きましょうか……! 事件の目撃者 若槻 律の元へ」
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