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郷田 健康 殺害事件の真相
―11:15 科学準備室
「若槻さん。
あなたに ウソの証言をさせたのは 誰ですか?」
おれの推理が正しければ 犯人は あの人だ…
「………」
「答えられませんか?
なら 代わりに 言いましょうか…」
「犯人は 誰なの?」
「郷田 健康 先生を殺害し 若槻さんにウソの証言をさせた犯人は…」
その場にいる全員が おれに注目した。
今のおれなら 大丈夫…
おれは 自信を持って 口を開いた。
「犯人は…赤村 幹雄 先生ですよ」
「赤村っちが…?!」
「恐らく 赤村先生は 体育館の中で 郷田先生のケータイを鳴らし 外へ出させ 後ろからナイフで郷田先生の背中を刺し 事切れたところで 死体を非常ベルの前に移動させ あらかじめ非常ベルの中にセットしておいた ラジカセかなんかのスイッチを 時間を見計らって押し 郷田先生が 非常ベルを押したように偽装し トイレの方へ 逃走した……そこで 計算外の事が起きた」
「計算外のこと……?」
おれは 若槻さんに視線を送り 彼が頷いたのを 確認した。
「そこで 若槻さんと 鉢合わせしてしまったんです」
「そう……
それで 脅されたんだ…
『バラしたら お前を留年させてやる』って…
だから 僕は ウソをつき通さないと いけなかったんだ……ゴメンよ」
おれは 若槻さんの手を取り 握手した。
「よく 言ってくれましたね。
ありがとう……」
若槻さんは もとの優しい笑顔を取り戻した。
偽りではない 心からの笑顔を……
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