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「もう止むかな…?」
幸ちゃんは腕時計と空を交互に見ながら小さく呟く。
彼女さんとの約束の時間が迫っているのかもしれない。
「止むんじゃない?私完全に止むまで待ってから友達んトコ行くから幸ちゃんは行けば?」
「あー…、うん、そーだな。じゃ、行くわ!明奈も気をつけて行って来いよ。変な男に引っかからないように!」
「あー、はいはい…。」
ホントに時間が過ぎて焦っていたのか、私の言葉を聞くが早いか背を向け前方に見える駅に向かって走っていく。
どこまでも妹扱いか…。
屋根からポタポタと落ちる雨の雫が夕日に照らされて小さくなっていく幸ちゃんの後ろ姿と共に眩しく映る。
水面に映る花火みたい。
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